
在ヒューストン日本国総領事 加茂佳彦
本日は、ダラス日本人会の新年会に家内共々参加をすることが出来、大変光栄でございます。日頃ダラス・フォートワース地区の皆様と親しくお会いする機会も少ない我々にはまたとない機会であり、本日の訪問を楽しみに致しておりました。出来るだけ多くの皆様方とお会いして、お近づきになれますれば幸いでございます。どうぞ、宜しくお願い申し上げます。
さて、皆様の新年の目標はどのようなものであったでしょうか。私の決意は、初心に帰るというものです。当地在勤が1年半となり、弛緩しやすい時期を迎えています。気を引き締めて、大いに闘争心を燃やして、自分の職責を全うしたいと思っています。
「ところで総領事はいつも何をしているのか。」と訝しく思われる方もいらっしゃると思います。私が最も力を入れている仕事の一つは、地元で日本のプレゼンスを示すことであります。まあ要するに付き合いを良くして、出来るだけ多くの会合に出席し、多くの人と会い、日本の宣伝をすることであります。
何でプレゼンスを示す必要があるのか。それは、日本の現在と未来の繁栄を確保するためです。もはや黙って良い仕事をしていれば済む時代ではなくなってきたのです。良い仕事をするためにプレゼンスを示す必要性が増して来ました。これまでは、アジアと言えば日本だし、他の国は比較の対象ですらなかった状況でした。でも今は違います。ダラスでも、中国、韓国、ベトナム等他のアジア系の人たちの活躍を身近に感じると思います。ダラス・メトロプレックスの貿易相手の上位5位全てがアジア諸国(中、韓、シン、台、日)です。因みに日本は第5位です。黙っているだけでは、アジア系の中で埋没しかねない状況なのです。全米規模でも、今や中国の方が日本よりも大きな貿易相手国です。
どうやってプレゼンスを示すのか。ダラス・メトロプレックスでの日本企業の存在感は素晴らしいものがございます。雇用者数ベースでの外国企業上位20社の内3社が日本企業であり、これはフランスと並び第1位の数字です。日本企業は、ダラス・メトロプレックス企業群の主役の一人なのです。この優位をバネに、ダラス経済界の本丸奥深くに食い込んで頂きたいと思います。
なんでダラスなのか。ダラスが手強さと手頃感を兼ね備えた奥行きの深い魅力的な都市であるからです。アメリカを知るにはダラスを知るのが近道だと思いませんか。ワシントンとかニューヨークの既成権力とも繋がるネットワークを持ちながら、土着の風土を大切にする土地柄だと聞いています。今の米国はダラス・ピープルが動かしています。大統領も、副大統領も、駐日大使も。本気を出してエンゲージする相手として不足はないでしょう。
では具体的にどうしろと言うのかとお尋ねになるかも知れません。「日本のプレゼンスを示す」ということは、特別な事ではありません。しっかりと仕事をして、良き市民として隣人と交わる、これに尽きます。ダラス日本人会の常日頃からの多彩な活動振りはつとに有名であります。テキサスの日本人のロール・モデルであると言ってもよいと思います。婦人部の皆様の活動も一番活発だと承知しています。日米協会もテキサス最強の充実振りです。ですから、私から、何かこうすべきだとあえて注文するつもりはございません。初心に帰って、これからも、日本人の存在と心意気を大いに示して頂ければ幸いであると思っている次第でございます。
最後に、本年の皆様方のご健康とご多幸をお祈り致しまして、私のご挨拶と致します。