在ヒューストン日本国総領事館

ヒューストン日本商工会主催「テキサス会」（平成24年4月15日）での
山本総領事挨拶

在ヒューストン日本国総領事　山本条太

テキサス会の無事の開催を、お慶び申し上げます。スポーツ委員会の皆さま、鉄鋼部会の皆さま、そして大会に参加された皆さま方、誠にお疲れ様でした。

この週末、アジア・ソサエティー・テキサスセンターの新しい建物が開館し、アジア各国からの様々な出し物が繰り広げられています。日本からも浪速鳶伝統保存会の宍戸代表始め14名の皆さんが駆けつけ、火消しや木遣りを披露されました。同じアジアでも、国柄地域柄それぞれと思いましたのは、個々ばらばらの姿こそ文化紹介だと割り切るコミュニティもあれば、そこは相当組織的に案配しようとしているコミュニティもある、韓国や台湾がその典型です。

日本はと言いますと、日本文化自体、大変に多彩ですし、先日成功裡に終了したジャパン・フェスティバルについての新聞見出しも、「日本舞踊からコスプレまで」といった調子ですから、「日本らしさ」の中味を決めつける必要はありません。同時に、何を見せるかより、どう見せるかについては、個別の知恵や工夫を結集し、効果的に案配する受け皿があれば、というご意見があります。ブランドも大切だがブランディング、売込み方も大切だ、それには知見や人脈の蓄積と申し送りが必要だという見立てです。

売込み方は、それこそそれぞれの土地柄次第で、北テキサスには北テキサスのやり方がありましょうし、大変上手にやられていると思いますが、ヒューストンもまたこれだけ多種多彩な文化都市であるだけに、何か案配の受け皿があればと感じます。同じような感じをお持ちの方も多々いらっしゃるかと思います。日系各団体の連携は常に大切ですが、特に、ヒューストン日米協会には、直木会長の下、一つの核としての役割を期待申し上げたく存じます。

発信の拠点や受取り手、どこの誰との同調・共鳴を狙っていくかということも、文化事業に限らず、大切で愉快な話題だと思います。ヒューストン美術館やアジア・ソサエティーを営み、支えている一連の人々との一体感を育むと同時に、アストロズやロデオを応援する標準的ヒューストン市民をターゲットに設定する、私はそう思いますし正解などありませんが、できるだけ具体的な事柄を意識してみる価値はあると思います。いずれにしましても、商工会、日本人会始め皆さまには、美術館やアジア・ハウスへの多大な援助をいただいています。そのことの価値を、ヒューストンの人々の側に改めて問い掛け、そのことの効果を、しっかりと求めていかねばなりません。

もう一つ季節柄で、無事安全ということにつき申し上げます。早速のダルビッシュ効果ですが、先日、日本国内のＴＶニュースで、アーリントン発、突風で空に舞い上がるトラックの映像が流れて、多くの人が驚いたそうです。嵐の季節が近づきました。

毎年5月下旬頃に、NOAA、アメリカの国家海洋大気圏局がハリケーン・シーズンの予測を発表します。それまでに、日系各団体のご協力を得ながら、安全対策協議会、そして緊急連絡網のテストランを実施してまいります。ハリス郡始め当地当局は、災害対応への組織も能力もしっかりしていると思いますが、安全ネットに過重過大ということはありません。

既に何度か襲来した竜巻突風雷についても、何が起きるのかを繰り返し伝え合う必要があります。洪水となり停電となりテレビがつかず信号機が消えます。雹に当たると車が壊れます。嵐が収まると今度は、昨年の干ばつ今年の大雨で大弱りの大木の枝が落ちてきます。時々、幹ごと倒れます。「どうするか」の前に、何が起きるのかを、どんなにご存じのことであっても、繰り返し意識し、伝え合ってまいりましょう。

治安面では幸い、大規模組織的な暴力、日本・日本人を標的にした不穏な動きは、当地には認められません。しかし、いくら単発小規模な事件であっても、当事者には不愉快極まりありませんし、巻き込まれの危険は、いつでもどこでも存在します。車上荒らしの頻発、強姦事件の増加、隣人から麻薬組織同士まで知り合いを狙った発砲事件の多発、事実を事実として承知しておく必要があります。また、キャッシュカードの読み取りを狙ったスキミングが、アメリカの一部地域で発生しています。ATMのカード挿入口の様子がいつもと違いましたら、たとえ銀行内のATMであっても、疑ってかかるべきです。治安や犯罪についてもまた、どうするか以前の問題として、どのような事件が起きているのか、伝え合ってまいりたいと存じます。

安全対策協議会、5月8日に予定しております。活発な情報交換の場にできれば何よりですので、よろしくお願いをいたします。