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総領事のヒューストン通信 |
テキサス州内商工会交流会「六者交流会」オースティン会合(11月2日)での山本総領事挨拶
在ヒューストン日本国総領事 山本条太
今年も無事、交流会実施の運びとなりました。谷津様始めオースティンの皆さまのご尽力に厚く御礼申し上げます。元より貴重な情報交換の場でありますが、私もまた、地元との連携のあり方につき各商工会・各企業それぞれお持ちの知見・ノウハウを学びにまいりました。
一年前の交流会では、マッカーレン商工会皆さまの誠に温かできめ細かな運営の下、テキサスでの日本ビジネスの活力を目の当たりにし、自らの課題も痛切に実感しました。マッカーレン、そしてエルパソも同様ですが、国境のメキシコ側の治安情勢に改善の兆しは見えません。まずは安全情報を共有しお手元に確実に伝えることにつき、当館と在メキシコ日本大使館との連携強化を進めております。
併せ、米国査証の扱いにつき当局への問題提起を続けます。B1/B2ビザでは米国内の居住資格は得られません。L1ビザは事業所間を移動するための査証ですが、就労の実態が主としてアメリカ国内にあることを必要とし、最近とみに移民局の対応が厳格化しています。マキラドーラもNAFTAも米国メキシコ双方の重視する経済政策で、メキシコ側の治安悪化のしわ寄せが、日本企業駐在員個人の査証の扱いに及ぶのはフェアでありません。本質的な難しさを伴う問題ですから、状況の打開は決して容易でありませんが、若干の中間報告があります。
まず、同様の問題がサンディエゴとティフアナに至るまで米墨国境全体を通じ発生しています。連邦政府への提起を重ねる必要があり、この点、ようやく問題を問題として捉えるべき必要につき当局の認識が得られつつあります。韓国企業からも同じ問題提起があります。「米国内での就労が希でしかない(occasional)」のがL1ビザの拒否事由で、それを超える就労の実態が米国内にあるなら、L1ビザの取得更新は現行制度上可能です。就労実態の裏付けを、書類上に限らず現実のものとして、丁寧に構築していただくことかと思います。
また入国・再入国手続上の問題については、当面、各地域の移民局事務所との適切な了解を構築し安全ネットを張ることが、一つの助けとなり得ます。来週7~8日に当館館員のエルパソ出張を予定しており、その際もご相談できると幸いです。このように幾多の難しい状況の中、マッカーレン商工会、エルパソ日本人会におかれては、安全安心の確保から補習校の運営まで日夜の御尽力をいただいておりますことに、改めて敬意を表します。
各地商工会の地元交流へのご尽力につき、この一年も実績に満ちた年でした。ダラス商工部会におかれては、日米協会、シーファー前駐日大使、ウォルシュ前太平洋艦隊司令官、テキサス・レンジャーズ等幾多のネットワークも駆使され、深く幅広い地元交流を推進され、8月の日米草の根交流サミット北テキサス大会に大成功をもたらす原動力となりました。
ヒューストン日本商工会におかれては、かねてからのご尽力が、美術館日本ギャラリーやアジア協会テキサスセンター始め一連の重要拠点のお披露目として花開き、格段の日本文化発信を可能ならしめるに至りました。このような発信拠点を、多種多様な文化と民族を擁するヒューストンにおいて、適時適切に得たことの意味は格別です。
サンアントニオ日本企業会におかれては、春先に見学にお招きいただき、企業理念を活かした手立ての数々が、地元との強固な連携に結びついている様を拝見いたしました。先月スペース・シャトル・エンデヴァーを牽引したトヨタ・タンドラが、テキサスの誇りとしてテキサス人の絶賛を浴びましたのも、偏にそのような積み重ねの賜物かと思います。
この場ですべてをご紹介できず残念ですが、その他数々の各地各様のご努力に、重ねて敬意を表します。日米同盟や日米交流には、人と人との相互信頼に裏打ちされた固有独特の強さと拡がりがあります。日系企業が地元から勝ちとられてきた信頼と尊敬もまた、その原動力です。そのような地元環境のおかげで、震災復興事業「キズナ強化プロジェクト」による学生交流も、数々の姉妹都市交流も着実に効果的に実施でき、それを更なる交流強化につなげることができます。日米桜寄贈百周年という今年全米を通じて実施中の事業にも、ここテキサスでは格別の持続力・影響力を持たせることができます。
そこから更に相乗効果が産まれるよう、総領事館もまた、極力地元の有力パートナーを見つけ連携しながら、文化行事始め事業の推進に努めてまいります。各事業については、透明性と発信を旨としてウェブサイトに掲げます。災害や生活安全情報共々、随時の参照と活用を願います。当館の領事サービスにつきアンケート調査を実施しますところ、これも詳細HPに掲げますので、是非ご参照の上、回答をお寄せ下さい。
補習校運営でも多大のご尽力をいただいています。講師謝金援助につき、適正処理の万全を期して援助制度の説得力を高め、併せ小規模校への支援拡大始め公平性の向上を図るため、多くの作業をお願いしており、9月5日付け外務省領事局政策課長発の通知に即してのご対応、どうぞよろしくお願い申し上げます。この6月にはヒューストンで合同授業研究会を開催し、オースティン、サンアントニオ各校の出席を得ました。7月の南部地区講師研修会には、オースティン、サンアントニオ、エルパソ各校の積極的な参加を得ました。ヒューストン校による出張指導も実現しました。補習校相互の交流・意見交換の促進は誠に大切なことで、総領事館も役割を果たしてまいります。
今一度、谷津様始めオースティンの皆さまに感謝申し上げます。昨年新たに日本人若手英語教員の派遣研修事業、JUSTEというプログラムが発足し、今年も15人の教員チームがテキサス大学オースティン校で研修中です。先ほど先生方にお会いし、安心快適な想いで研修に邁進されているのが何よりでした。谷津様始め、社会人会、日米協会、AJA、沖縄友の会、AJOに及ぶオースティンの分厚いネットワークのおかげです。六者交流会から幅広い日米交流推進まで、行き届いたご采配の数々に厚く御礼申し上げ、私のご挨拶といたします。